老後レス社会

老後レス社会:死ぬまで働かないと生活できない時代

朝日新聞特別取材班

祥伝社

 

読み終えてまず、

老後レス

上手く表現した言葉だな、と思った。

 

少子高齢化社会の問題が取り沙汰され始め久しいけれど、

年々この問題が身近になってくる。

 

まず、私自身も”辞めたい、辞めよう”と日々愚痴りながら、

未だにパートとは言え、働きに出かけている。

この歳になってまだ働いているとは、

20代だったあの頃の私は想像もしていなかった。

加えて、こんな私に労働力として需要があるだなんて・・・

 

一方で、私の母は、私の今の年齢の頃には、

すっかり隠居気分で過ごしており、

食事の支度すら、できれば若者世帯に任せてしまいたい勢いだった。

そのことを考えると、

私はすでに老後レス生活に片足を突っ込んでいるのだろうか。

 

会社の妖精さん

この存在については、夫の現状を探るべく話を向けてみた。

”朝早く出現し、社食でコーヒーなど飲みながら就業時間までをゆっくり過ごし”

あたりまでは、

”それ、まんま僕じゃない?”

と楽しげだった彼。

その後、”就業時間内ではその姿は目立たず、仕事に置いて存在感が示されないにもかかわらず年功序列制度による高給を得る年配者の姿に若者の労働意欲が低下しているらしいよ。”

と私が続けるや、

”じゃあ僕は妖精さんではないね。仕事でもちゃんと存在感示してるし。”

そうなんだ。そうだといいな。

でもそれは、周囲の人が決めること。

 

ロスジェネたちの受難

においては、まさに”コロナ禍の受難”をモロに被っている現在就活中の長男の将来を案じる内容となっていた。

20年後、息子たちの世代も、こうして置き去りにされた世代として社会問題になっているのではないだろうか。

”ロスジェネ世代を生んだ最大の原因は、日本独特の雇用慣行である。

新卒時の一括採用、年功序列、終身雇用は戦後の高度成長を支えてきた。

まっさらの若者を会社が丸抱えして職業教育を施し、労働力を確保する。右肩上がりの時代には一定の効用があっただろう。

だが、バブル崩壊後の長期不況で、この雇用システムは矛盾を露にする。年長世代の雇用を守ろうとする日本企業の多くは、世代間のバランスを顧みずに新規採用を絞り込んだ。その後に景気が回復しても、新卒の採用が優先され、この世代は見捨てられた。”

(本文よりp117)

 

死ぬまで働く

本書で取材対象者は3つのパターンに分かれている。

生活のために働かなければならない人。

今まで懸命に働いてきた努力が報われず不安定な雇用制度を強いられ将来に不安を抱えている人。

最後に、自らの生きがいとして働き続けている人。

”自分が必要とされているという実感は何歳になっても大切だ。仕事は確かに人に役割と居場所を与えてくれる。”

(本文よりp,185)

"過去のキャリアにこだわらない。聞かれるまでは余計なアドバイスはしない。お金はいただけるだけでありがたいと考える。それが高齢になっても働けるコツだ”

(本文よりp.192)

 

いつまで働くのか。

何のために働くのか。

老後の過ごし方を私はどのようにイメージしているのか。

それを実現するためにはどうするべきなのか。

 

来るべき老後に向けて、考えなければならないことが山積みである。